しがさく・ねこぐらし

ついに来てしまいました「芋たこなんきん」最終週。かつて、これほど
朝から笑って泣いた連ドラがあったでしょうか。来週からまた、新人
女優のお遊戯会を見なきゃならんかと思うとほんとに・・・・。

田辺聖子さんの小説はもとから好きでしたが、藤山直美さんにも再
び惚れましたね。何より大阪弁が美しい。テレビから流れてくる「芸
人言葉」が関西弁と勘違いされるようになって久しいですが、私の叔
母が話す京都弁や夫のおばあちゃんの大阪弁はほんとうにきれい
な言葉です。それが聞けるだけでも、毎朝チャンネルをあわせる価
値がある。

日常で、だれもが出会うちっさなエピソードが丁寧にひろってあり、登
場人物のだれ一人としておろそかに描かれてない。週の最後には毎
回、「そうやんな～」としみじみ共感できるセリフのやりとりがあり、ほ
んと、連続テレビ”小説”の名にふさわしい作品でしたよね。

カモカのおっちゃんも田辺さんの本からファンでしたが、国村隼さん
のカモカはまさに「理想の夫」像ってところでしょうか。

夫になる人の条件で「３高」なんて言葉も流行りましたが、カモカのお
っちゃんを見てると、夫として最高の条件は「話の通じる人」
なんだなぁとつくづく痛感。夫婦とはいえ、別の人間ですから価値観や
考え方が違うのは当たり前ですが、それをすり合わせる作業の出来な
い、話のワカラン男と結婚してしまうことほど不幸はない。話が通じない
人と思いやり合うことは途方もない労力を要します。ウチの夫もかなり
頑固で、男にありがちな「オレ王国」の住人ですが、辛うじて通信手段
が確立されているので何とかやっていけてる、ってところでしょうか。


以下、芋たこなんきん（？）のネタバレになるかもしれないですが・・・


カモカのおっちゃんこと、田辺聖子さんのご主人・川野純夫さんは２００
２年に享年７７歳で旅立たれています。知り合いのおっちゃんが亡くなっ
たように寂しかったなぁ。
病の末期、枕元で声を殺して泣いていた田辺さんにむかって「かわいそ
に　わしはあんたの　味方やで」と五七五調でいたわったのが最期の言
葉だったんだとか。やっぱり、うらやましいと言わずにはおれません。